Z1000F型 ミッションオーバーホール
2003年にZR1000Aとして再誕したZ1000。このF型はその5代目として2014年に発売されました。
今回はミッションのオーバーホール。以前ご紹介したZX-10Rミッションリコール修理
[1][2][3]と似た作業なのですが、ちょっと大掛かりです。
以前のZX-10Rはカセットミッションのため、クラッチカバー・クラッチを取り外しミッションユニットのメンテナンスができましたが、Z1000はエンジンを下ろすところから始まります。
「エンジンを下ろす」と、文字にして8文字ですが、実際はかなりの作業内容となります。
外装、シート、タンク、マフラー、ゼネレーター、ラジエターなどなどエンジンにつながっているものすべてを取りはずします。
エンジンを下ろし、オイルパンを外した状態。
中央の写真はちょうどエンジンを下から見た状態なので逆さまになっています。
上の方がクランクシャフト側。下の方がミッション側になります
左右の写真で、ミッションシャフトの中心を境にエンジンケースに筋が見えます。この位置でエンジンケースを開けるとミッションが現れてきます。
ケースを開けてミッションを露呈した状態が右の写真。左はクランクシャフト側。
ようやく現れたミッションを細かく確認していきます。
シフトフォーク部分。
中央の拡大写真でよく見えますが、削れている部分とバリが立っている部分があるのがわかります。
回転しているものが擦れて削れてしまい、その影響でバリがでてしまっています。
さて、ミッションをばらしていきます。
ギヤチェンジを行うと、シフトドラムが回転しその角度に合わせてシフトロッドをガイドとしてシフトフォークが移動します。
シフトフォークが移動することによってギヤシャフトに緊結されていないギヤがスライドし、緊結されているギア側面にある突起(右の写真)と噛み合うことで回転動力を伝えていく仕組みになっています。
ローギヤに入れる時、カツンとくる衝撃はそのギヤ側面の突起と相手側のギヤと噛み合った時に生じるものです。
今回のオーバーホールの目的はこれ。
左の写真では突起が噛み合う部分の角が削れてしまっています。そして相手となる突起の角も削れているのが右の写真。
このような状態ではギヤが入っても入りきらず抜けてしまったりしてしまいます。
しっかりシフトチェンジが終わっていない状態でエンジンのトルクをかけてしまったりを繰り返してしまうとこのような状態になってしまいます。
不具合が起こっているギヤを交換していきます。
左が古いギヤで右が新品のギヤ。
組み上がったアウトプット側ミッションです。
こちらはシフトフォーク。交換します。
スムーズに動かなくてはならない部分がこうなってしまっては本来の動きができなくなってしまうと同時に、工業製品には自然治癒能力はないので、放置しておくと悪化することしかありません。なにか異常に気づいたらら確認・点検をするようにしてください。
そして、なによりも日頃のメンテナンスが重要です。定期的な清掃やオイル交換などのメンテナンスをお忘れなく。