2018年2月28日にブライトから国内に向けて発表されたリコール修理です。
2016年からの車両に対象となる不具合があるとアナウンスがありました。
今回のリコールは、
トランスミッションギヤの強度が不足しているため、
変速時にギヤに過度の衝撃が加わるとトランスミッションのアウトプットギヤが破損し、
変速できなくなるおそれがある。
ですので、
アウトプットギヤ2速、3速、4速、およびインプットギヤ2速を改善品に交換する。
という修理になります。
ZX-10Rといえば Kawasaki のスーパースポーツの中でフラッグシップとなるバイク。
ご存知の通り、国内の選手権はもちろんWorldSuperBikeで大活躍を続けている車両です。
ツーリングはもちろん、サーキットのスポーツ走行を楽しまれている方も多く、ギヤの破損は車両への影響だけでなく、走行時の安全面にも不安を持ってしまいそうです。
安心してお乗りいただくためにもリコール修理を行います。
さて、今回はZX-10Rの3つのカラーリング
ZX-10RR / ZX-10R KRTのライムグリーン / ZX-10R ホワイト
トランスミッション・ギヤ交換の様子をご紹介します
トランスミッションのギヤ交換と聞くと、エンジンを下ろしてクランクケースを開けて、分解して、、、などと、ややこしい工程を想像される方もいるかもしれません。
Ninja250 のクランクケースとギヤ
多くのバイクはこのような構造でトランスミッションが組み込まれていますが、こと、このZX-10Rはレースなどで使用することが考えられている車両です。
サーキットはカーブの形状やアップダウン、ストーレートの長さなど、それぞれ特性を持っています。
富士は直線が長いとか、鈴鹿は高速かつテクニカルだとか、つくばを極めれば早く走れるとかそんな話を聞いたりします。
早く走るために走行技術はもちろんですが、さらにより効率良く、早く、バイクを走らせるためには、サーキットに合わせたギヤを組み込んで走ります。
(もちろんレースではレギュレーションとかもあるのでそれに合わせての改造ですが。。。)
限られた時間のフリー走行でサーキットに合わせたギヤセッティングをするのにいちいちクランクケースなんて開けていられません。
ZX-10Rのトランスミッションは「カセットミッション」という方式になっていて、クラッチカバーとクラッチを外すことでミッションが取り出せるようになっています。
ミッションを取り出した様子
クランクケースを開けるより手順は少ないとはいえ、これはこれで、エンジンから力を伝達する駆動系の肝になるので、しっかりと確認しながら丁寧に作業をしていきます。
まず、ロアカウルを外し、スプロケットとクラッチを露呈します。
ロアカウルを外した状態
スプロケットとクラッチ本体
クラッチを外すと、カセットミッションのユニットのカバーが見えてきます。
少し中を覗くと、クランクからエンジンの力を伝達するギヤとコンロッドが見えます
スプロケットを外し、カセットミッションユニットを固定するカバーのボルトを外していきます。
かなりの高トルクで締め付けられています。
ミッションが取り出されたあとと、取り出されたカセットミッションのユニット。
今回のリコールでは、インプットギヤの2速と、アウトプットギヤの2、3、4速の交換ですので、ギヤをバラしていきます。
トランスミッションシャフトを取り外しますが、ここで使われているボルトが少し特殊な上に高トルクで締め付けてあります。
しっかりと施工するために工具も予備を含めて準備しました。施工の際の力が正確に伝わるように短軸を使います。
リコールのご案内のご連絡をさせていただいておりますが、お乗りになっている愛車が該当しているかどうかも含め、安全に長くお乗りいただくためにもお問い合わせください。