ZX-9R マレーシア仕様(2002年) 納車整備
1994年から発売されたZX-9Rの最終型になるF型の納車整備作業をご紹介します。
1994年に登場したZX-9R。
オールマイティーなツアラーの側面を持つZX-9Rですが、当時は打倒CBR900RRを目指して開発された、Kawasakiのフラッグシップモデルでした。
その最終型であるこのF型は、4POD化やスイングアームの補強、グラブバーの廃止など130箇所にも及ぶパーツが見直されました。
スーパースポーツでありながら、ツアラーとしても乗りやすくなったZX-9Rの最終型になります。
2018年となる今年で16年前の車両です。
大切に乗っていてもやはり経年劣化してしまう部分は少なくありません。
その部分も含めて丁寧に確認整備を行なっていきます。
外装、タンクを外し作業を進めていきます。
ACG(交流発電機)からレギューレータ(整流器)のコネクター。
接点復活剤だけでなく、導通グリスを充填し接点の浮きなどによるスパッタ現象などの発生を抑止します。
エアクリーナを外しインテーク全景と劣化した燃料ホース
ラジエターキャップの表面は若干の腐食が見られます。
ひっくり返してみると、締め付けられていた跡がゴムにくっきりと残っています。
硬化してしまっているため締め付け位置がずれると漏れてしまうので交換します。
クーラントも交換します。
ゴムや樹脂系は経年劣化が見られるところ。
こちらの燃料ホースもジョイント部を外すとひび割れがみられます。
クリップで締め付けていますが、ひび割れから燃料が漏れ発火、そして車両火災。
こんな小さなひび割れが原因となりますので交換します。
キャブレターのオーバーホール前の状態を確認していきます。
まずはキャブレターインテーク側。
拡大してみてみると錆や汚れがあるのがわかります。
エンジンインテイクバルブをのぞいてみるとカーボンが付着しているのが見えます。
カーボンクリーナーを施工してカーボンを取り除きます。
次にキャブレターフロートチャンバー室をみて見ます。
フロートを外し分解清掃を進めていきます。
フロートバルブシートを外し状態を確認します。
装着時に歪んでしまった跡が残ってしまっています。
これではOリングの役割が完全ではない可能性があるので交換します。
キャブレターパーツに取り付けられている座金類も状態を確認します。
締め付けのトルクなどもありますが、長期間同じ形で占められているため変形してしまっているため交換します。
Oリングや座金など経年劣化によって性能が保証できないパーツは交換。
汚れやサビなどは清掃していきます。
スロットルボディーの状態を確認します。
年数にしてはまだ綺麗な方かもしれませんが、汚れが付着しているので分解清掃を行います。
燃料系ホースを止めるOリングにひび割れがありました。
これも燃料漏れの原因になるので交換します。
分解していくとほぼ全てに劣化によるひび割れが確認されましたので交換しました。
キャブレターインナーパーツの洗浄後。
スロットルボディーの清掃後。
見比べるとわかりますが、付着していた汚れが取れています。
キャブレターインテークの清掃後。
汚れやサビが落ちてメタル部分の輝きが戻ってきています。
劣化したホースも新品に交換します。
インテークマニホールドのマウント部分を綺麗に磨き上げに耐熱グリスを塗布します。
エアクリーナーを清掃して組み上げていきます。
次はフロント周りの整備に入ります。
フロントホイルを外しエアバルブを確認すると
やはりここにもクラックが見つかりました。
タイヤのエア漏れはとても危険。新品に交換します。
フロントホイルのベアリングも確認すると、シールドベアリングですが汚れやゴミが目立ちます。
ゴミが噛んでしまうと致命的ですので新品に交換します。
フロント周りの作業を進めていきます。
ステムベアリングの清掃とグリスアップ
清掃後、グリスをたっぷり充填します。
グリスをしっかり充填することで大気との接触を断ち、湿度や水分の浸入による錆を防ぎます。
フロントフォークのオーバーホール。
ブレーキは安全のための最重要パーツです。動くことはもちろんですが性能を発揮できるようにメンテナンスも必要な部品です。
フロントブレーキキャリパーのオーバーホール。ブレーキパッドを外し分解していきます。
キャリパーを分解し状態を確認します。
汚れが付着しているので清掃して綺麗にします。
リア周りの作業を進めていきます。
リアタイヤハブのベアリング。
ここも汚れやゴミが目立ちますので、しっかり清掃して新品に交換します。
こちらのベアリングも汚れとゴミが。同じように新品に交換していきます。
リアブレーキのオーバーホール。
フロント同様に分化して状態を確認します。
汚れをしっかり清掃しシール類を交換します。
燃料コック部分も状態の確認。分解して動きや各種パーツを確認します。
ここの内部樹脂部品も、やはり、経年で型がついてしまっています。
新品に交換していきます。
まだここに掲載しきれていないメンテナンス箇所がありますが、長年の経験からツボお抑えた整備で仕上げています。