ZX-12R 整備・カスタム 前編
ZX-12Rオーナー様。いつも遠方よりありがとうございます。
今回の整備・カスタムメニューは、エンジンカーボン落とし、リアスプロケット交換、チェーン交換、フロントブレーキマスターシリンダー交換、フロントブレーキディスク交換、アクスルシャフト前後、ピボットシャフトの交換・・・などなど。
今回は前編ですがリア周りのカスタムのお話
■ピボットシャフト交換
純正のスチール製シャフトからクロムモリブデン製(クロモリ)のシャフトに交換します。純正品とは比べ物にならないくらいの高剛性となります。
ピボットシャフトの役割は、フレームとスイングアームをつなぎ車体の重量を支えるとともに、タイヤから伝わる路面の影響、エンジンから駆動輪に伝えられる強大な力による反発など、可動・運動部分を緊結している重要な部分です。その部分に加わる力によるねじれ剛性を高めることによって、スムーズな動きを実現し、サスペンションやタイヤなどの性能を発揮させることができるようになります。
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車体を注意深くジャッキアップして固定します。
スイングアームを完全なフリー状態や荷重がかかってしまっている状態ですとスムーズな交換作業ができないので、慎重に調整しながら位置決めをします。
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部品はそれぞれそれなりの重さのあるものが装着されているので、古いピボットシャフト抜いて、新品を差し込んで、と簡単にはいきません。
車体でとても荷重がかかりクリアランスも多くないので、純正シャフトを完全に抜かずに交換作業を行います。
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まず、ピボットシャフトを固定しているボルトを外します。
抜き方向と逆側からあらかじめ準備しているピボットシャフトと同径のシャフトを差し込みながら古いシャフトを抜いていきます。
差し込んだシャフトが貫通すると、スイングアームがずれることなく古いシャフトが抜けます。
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新品を差し込むのはその逆の工程を行います。しっかりとグリスアップしたクロムモリブデンのピボットシャフトを差し込んでいきます。
ずれずに貫通すると換装完了です。
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規定のトルクで締付けるためトルクレンチでしっかりと締め付けを行います。
■リアスプロケット交換
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チェーンとリアのアクスルシャフトを外しリアタイヤをスイングアームから外します。
このとき、リアブレーキのキャリパーも外しておきますが、キャリパー本体やブレーキホースを傷めないように注意が必要です。
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取り外されたリアタイヤ
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スプロケットを固定しているボルトを外し交換作業を進めていきます。
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取り外されたスプロケット。
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こちらは、使用前・使用後。
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新品のスプロケットをはめ込み、ボルトを締めこんでいきます。
メーカーの指定するトルクでにするため、最後はトルクレンチで締め付けていきます。
つぎに樹脂製ダンパーの交換。
樹脂部品はその車両の使用状況や保管状況によって差はあるものの、経年で劣化していってしまいます。今回はリアスプロケットの交換のついでに、ダンパーの交換を行います。
強大なエンジンパワーをダイレクトに後輪に伝えてしまうとエッジの効いた動きになってしまうため、このダンパーで、その動きの角を取り丸くすることで扱いやすくなります。
交換したスプロケットとカップリングパーツをホイールに戻し、スイングアームに取り付けて交換作業は完了です。
■チェーン交換
チェーンはエンジンのパワーを後輪に伝える重要なパーツで、走行中は常に力がかかり続け、動き続け、まわり続けています。
ですので、チェーンはある意味消耗部品になるのですが、見た目ではなかなか劣化具合がわからなかったりもします。
メンテナンスを欠かすことができない部分で、少し気をぬくと錆びてしまったり、動きが悪くなってしまったりしてしまいます。そのような症状が出てしまっていたら、簡単な清掃などは治らないかもしれません。
まして、そのような状態で乗り続けていると、動きが悪くなったチェーンでスプロケットを削ってしまったり、伸びてチェーンが暴れたり、さらに最悪な状態としてはチェーンが外れたり切れたりしてしまいとても危険な状態になってしまう可能性としては否定できません。
今回は、こちらもスプロケットの交換と合わせチェーンを交換となります。
チェーンは地味に重たいパーツです。車両に傷をつけないように慎重に這わせていきます。
ひとまわりさせ、長さを合わせます。
余分な長さを切りチェーンをつなぎます。十分にグリスを塗布します。
日々のメンテナンスはとても重要です。チェーンオイルの塗りすぎにも気をつけてください。
古いオイルが含んだホコリやゴミがチェーンの動きを悪くしてしまうこともあります。
エンジンスプロケット側のカバー内も定期的に清掃をしてください。
オイルを吹すぎて、そのオイルカスがホコリやゴミを含んだオイル団子になって溜まっていってしまい、それが何かの拍子でチェーンに乗って掃き出されて、タイミング悪くリアタイヤで踏んだりしたら、、、さらにタイミング悪くコーナーを走行中だったら、、、そんな万が一になってしまわないように、大切な車両を長く安心して乗るためにも、日々のメンテナンスは欠かさないようにしましょう。
おっと、いけない。リアアクセルシャフトの交換作業が残っていました。
こちらも、純正のスチール製からクロムモリブデン製のアクスルシャフトに交換します。
こちらも純正のシャフトとは比べ物にならないくらいの高剛性化となります。駆動力によるスイングアームのよじれなどが少なくなり、より路面に追従したスムーズな動きになります。
しっかりと必要なだけグリスを塗布し純正のアクスルシャフトと換装します。
専用のクロモリ製逆止ナットをかけ、チェーンの張り具合を確認しながらシャフトの出具合を調整していきます。
タイヤを軽く回転させ、スムーズに回るか確認し、トルクレンチで規定の締め付けトルクになるように締めこんでいきます。
これで、リア周りのカスタム作業が完了しました。