2018年03月28日(水)

ZX-9R F型 整備

ZX-9R マレーシア仕様(2002年) 納車整備
 
 1994年から発売されたZX-9Rの最終型になるF型の納車整備作業をご紹介します。
 
 
1994年に登場したZX-9R。
 オールマイティーなツアラーの側面を持つZX-9Rですが、当時は打倒CBR900RRを目指して開発された、Kawasakiのフラッグシップモデルでした。
 その最終型であるこのF型は、4POD化やスイングアームの補強、グラブバーの廃止など130箇所にも及ぶパーツが見直されました。
 スーパースポーツでありながら、ツアラーとしても乗りやすくなったZX-9Rの最終型になります。
 
 2018年となる今年で16年前の車両です。
大切に乗っていてもやはり経年劣化してしまう部分は少なくありません。
 その部分も含めて丁寧に確認整備を行なっていきます。

 

 
 
 外装、タンクを外し作業を進めていきます。
 
 
ACG(交流発電機)からレギューレータ(整流器)のコネクター。
接点復活剤だけでなく、導通グリスを充填し接点の浮きなどによるスパッタ現象などの発生を抑止します。
 
 
エアクリーナを外しインテーク全景と劣化した燃料ホース


 
ラジエターキャップの表面は若干の腐食が見られます。
ひっくり返してみると、締め付けられていた跡がゴムにくっきりと残っています。
硬化してしまっているため締め付け位置がずれると漏れてしまうので交換します。
 
クーラントも交換します。
 

ゴムや樹脂系は経年劣化が見られるところ。
こちらの燃料ホースもジョイント部を外すとひび割れがみられます。
クリップで締め付けていますが、ひび割れから燃料が漏れ発火、そして車両火災。
こんな小さなひび割れが原因となりますので交換します。
 
 
キャブレターのオーバーホール前の状態を確認していきます。
 

まずはキャブレターインテーク側。
拡大してみてみると錆や汚れがあるのがわかります。
 

エンジンインテイクバルブをのぞいてみるとカーボンが付着しているのが見えます。
カーボンクリーナーを施工してカーボンを取り除きます。
 

次にキャブレターフロートチャンバー室をみて見ます。
 

フロートを外し分解清掃を進めていきます。
 

フロートバルブシートを外し状態を確認します。
装着時に歪んでしまった跡が残ってしまっています。
これではOリングの役割が完全ではない可能性があるので交換します。

 
キャブレターパーツに取り付けられている座金類も状態を確認します。
締め付けのトルクなどもありますが、長期間同じ形で占められているため変形してしまっているため交換します。
 

Oリングや座金など経年劣化によって性能が保証できないパーツは交換。
汚れやサビなどは清掃していきます。

 
スロットルボディーの状態を確認します。

年数にしてはまだ綺麗な方かもしれませんが、汚れが付着しているので分解清掃を行います。
 

 
燃料系ホースを止めるOリングにひび割れがありました。
これも燃料漏れの原因になるので交換します。

 
分解していくとほぼ全てに劣化によるひび割れが確認されましたので交換しました。

 
キャブレターインナーパーツの洗浄後。
スロットルボディーの清掃後。
見比べるとわかりますが、付着していた汚れが取れています。
 

キャブレターインテークの清掃後。
汚れやサビが落ちてメタル部分の輝きが戻ってきています。

 
劣化したホースも新品に交換します。

 
インテークマニホールドのマウント部分を綺麗に磨き上げに耐熱グリスを塗布します。

 
エアクリーナーを清掃して組み上げていきます。
 
 
次はフロント周りの整備に入ります。
 

フロントホイルを外しエアバルブを確認すると

 
やはりここにもクラックが見つかりました。
タイヤのエア漏れはとても危険。新品に交換します。

 
フロントホイルのベアリングも確認すると、シールドベアリングですが汚れやゴミが目立ちます。
ゴミが噛んでしまうと致命的ですので新品に交換します。

 
フロント周りの作業を進めていきます。

 
ステムベアリングの清掃とグリスアップ

 
清掃後、グリスをたっぷり充填します。
グリスをしっかり充填することで大気との接触を断ち、湿度や水分の浸入による錆を防ぎます。

 
フロントフォークのオーバーホール。
全バラして清掃。シール類の交換をします。
 
 
ブレーキは安全のための最重要パーツです。動くことはもちろんですが性能を発揮できるようにメンテナンスも必要な部品です。
フロントブレーキキャリパーのオーバーホール。ブレーキパッドを外し分解していきます。

 
キャリパーを分解し状態を確認します。
汚れが付着しているので清掃して綺麗にします。

 
リア周りの作業を進めていきます。

 
リアタイヤハブのベアリング。
ここも汚れやゴミが目立ちますので、しっかり清掃して新品に交換します。

 
こちらのベアリングも汚れとゴミが。同じように新品に交換していきます。

 
リアブレーキのオーバーホール。
フロント同様に分化して状態を確認します。
汚れをしっかり清掃しシール類を交換します。

 
燃料コック部分も状態の確認。分解して動きや各種パーツを確認します。
 

ここの内部樹脂部品も、やはり、経年で型がついてしまっています。

新品に交換していきます。


まだここに掲載しきれていないメンテナンス箇所がありますが、長年の経験からツボお抑えた整備で仕上げています。





 

2018/03/28 10:00 | 整備日誌♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

この記事のトラックバックURL:

2018年03月20日(火)

ZX-10R リコール修理

2018年2月28日にブライトから国内に向けて発表されたリコール修理です。

2016年からの車両に対象となる不具合があるとアナウンスがありました。
 
 今回のリコールは、
 
トランスミッションギヤの強度が不足しているため、
変速時にギヤに過度の衝撃が加わるとトランスミッションのアウトプットギヤが破損し、
変速できなくなるおそれがある。
 
ですので、

アウトプットギヤ2速、3速、4速、およびインプットギヤ2速を改善品に交換する。

という修理になります。

 
 ZX-10Rといえば Kawasaki のスーパースポーツの中でフラッグシップとなるバイク。
ご存知の通り、国内の選手権はもちろんWorldSuperBikeで大活躍を続けている車両です。
 ツーリングはもちろん、サーキットのスポーツ走行を楽しまれている方も多く、ギヤの破損は車両への影響だけでなく、走行時の安全面にも不安を持ってしまいそうです。

 
安心してお乗りいただくためにもリコール修理を行います。

 
 さて、今回はZX-10Rの3つのカラーリング
ZX-10RR / ZX-10R KRTのライムグリーン / ZX-10R ホワイト
 

 
トランスミッション・ギヤ交換の様子をご紹介します

 
 トランスミッションのギヤ交換と聞くと、エンジンを下ろしてクランクケースを開けて、分解して、、、などと、ややこしい工程を想像される方もいるかもしれません。
Ninja250 のクランクケースとギヤ
 
 多くのバイクはこのような構造でトランスミッションが組み込まれていますが、こと、このZX-10Rはレースなどで使用することが考えられている車両です。

 サーキットはカーブの形状やアップダウン、ストーレートの長さなど、それぞれ特性を持っています。
 富士は直線が長いとか、鈴鹿は高速かつテクニカルだとか、つくばを極めれば早く走れるとかそんな話を聞いたりします。
 早く走るために走行技術はもちろんですが、さらにより効率良く、早く、バイクを走らせるためには、サーキットに合わせたギヤを組み込んで走ります。
(もちろんレースではレギュレーションとかもあるのでそれに合わせての改造ですが。。。)

 
 限られた時間のフリー走行でサーキットに合わせたギヤセッティングをするのにいちいちクランクケースなんて開けていられません。
 ZX-10Rのトランスミッションは「カセットミッション」という方式になっていて、クラッチカバーとクラッチを外すことでミッションが取り出せるようになっています。

ミッションを取り出した様子
 

 クランクケースを開けるより手順は少ないとはいえ、これはこれで、エンジンから力を伝達する駆動系の肝になるので、しっかりと確認しながら丁寧に作業をしていきます。

 
 まず、ロアカウルを外し、スプロケットとクラッチを露呈します。

ロアカウルを外した状態
 
 
スプロケットとクラッチ本体
 

 クラッチを外すと、カセットミッションのユニットのカバーが見えてきます。


 少し中を覗くと、クランクからエンジンの力を伝達するギヤとコンロッドが見えます

 
スプロケットを外し、カセットミッションユニットを固定するカバーのボルトを外していきます。
かなりの高トルクで締め付けられています。

 
ミッションが取り出されたあとと、取り出されたカセットミッションのユニット。


 
今回のリコールでは、インプットギヤの2速と、アウトプットギヤの2、3、4速の交換ですので、ギヤをバラしていきます。

トランスミッションシャフトを取り外しますが、ここで使われているボルトが少し特殊な上に高トルクで締め付けてあります。
しっかりと施工するために工具も予備を含めて準備しました。施工の際の力が正確に伝わるように短軸を使います。

 



対策品のギヤと交換し組み上げます。



 
 リコールのご案内のご連絡をさせていただいておりますが、お乗りになっている愛車が該当しているかどうかも含め、安全に長くお乗りいただくためにもお問い合わせください。


動画は1分足らずですが、作業には数時間かかります。

2018/03/20 10:55 | 車検・修理! | コメント(0) | トラックバック(5)

この記事のトラックバックURL:

2018年03月13日(火)

ZZR1100 車検整備

 最古参のお客様の ZZR-1100 車検整備です
1990年式のZX1100 C1です 



今でも現役稼働中です!!



 祝! 10万キロオーバー!



総走行距離なんと100,683キロ!!



この年式ですので多少の問題は抱えていますが、絶賛稼働中!
過去にエンジン・車体など手はいれてますが、実用レベルで問題なく使用できます。


オーナー様の強い愛着(執念とも?!)を感じる1台ですね。

2018/03/13 13:31 | 整備日誌♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

この記事のトラックバックURL:

2018年03月06日(火)

Z900RS カスタム

2018年大人気のZ900RS!!



3色並んでいる姿はなかなか見れないかもしれません!
 


2018年新登場のZ900RS
人気を表すかの様に各社からたくさんパーツが発表されています
 
 
こちらのブラックカラーにはAKRAPOVICのスリップオンマフラーを装着 [メーカーページ]
サイレンサーのカラーもマットブラックで車両とのマッチングもいい感じです

 
ブラウン(火の玉カラー)はBEETのフルエキを装着 [メーカーページ]
チタン焼き入れの輝きにとても存在感があります
 
 

ブラックカラーにはグラブバーを ブラウン(火の玉カラー)にはサイドグリップを装着
グラブバーはゆったりと大きめでタンデムの時も安心感があります

 
フレームスライダーは控えめながら機能性をもったデザイン
このスタイルの車両にはセンタースタンドは必須アイテム?!

 

最後にこだわりのカスタム KAWASAKIのタンクエンブレム
旧Z時代を感じます
 
 
お好みやこだわりで個性豊かなカスタムができ、大変な人気の車両です。
Kawasaki純正のアクセサリーパーツも豊富にあります。[アクセサリー]
こちらの3台は既にご成約済みですが、ブラックカラーの次回入荷分は1台のみ確保しています。
ご購入をご検討中のお客様は、お早めにお問い合わせ・ご来店ください。

2018/03/06 10:30 | カスタム♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

この記事のトラックバックURL: