ZX-12R B2 メンテナンス整備 フロントフォーク編
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2000年に販売が開始されたZX-12R。発売当初はノーマルで300km/hを超えることができる世界最速の車両としてメガスポーツタイプのトップに君臨。販売店にライディングスキルの確認を要求したとも言われるパワーマシンです。
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今回はそのZX-12Rのフロントフォーク周りのメンテナンス整備です。
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このB2は発売が2003年から。15年経過していて個体差はありますがそれぞれにいろいろなところのメンテナンス整備が必要になってくる年頃です。
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フロントフォークのメンテナンスなので、スタンドを立て早速作業にとりかかります。
インナーチューブのサビの修理
取り外したフロントフォーク。
一見綺麗に見えますが、よく見るとかなりダメージが見られます。
フォークをばらし、各所を確認していきます。
インナーチューブとボトムケースのクランプジョイント部分の拡大写真です。
汚れを落とし綺麗になっていれば鏡面に輝いていなければなりませんが、表面が波模様になっています。
これは、飛び石などで傷ついたメッキから侵入した水分によって内部で金属の腐食が進み凸凹となって出て来ている状態です。
表面からの補修をすることは不可能なうえに、腐食は進む一方ですので交換が必要になります。
今回使用する交換パーツと工具の一部。サスペンションのオーバーホールにはこのほかにも専用の治具が必要になります。
フォークシール、スライドメタル・ブッシュ・スペーサー類、フォークオイル。
少し引いた写真で見ると、メッキの鏡面加工の反射に歪みがみられます。
走行の際にストロークするフロントサスペンション。スライドメタルによって支えられている部分に荷重がかかり磨耗していってしまいます。
スムーズな動きが求められる部分に歪みがあってはなりません。
このZX-12R B2型は車両の生産終了してから年数が経過し純正パーツを入手することができません。
フロントフォーク・インナーチューブ・パーツは本来非分解部品ですが今回はインナーチューブをチタンメッキしたインナーチューブと交換します。
交換装着完了。
写真ではすぐですが作業には細心の注意と配慮をして行なっています。
この車両は、どこかでフォークのメンテナンスを行っている形跡が見られました。
ダストシールを剥がす際に工具による痕跡でしょうか。アウターチューブのエッジ部分に傷が入ってしまっています。
このままダストシールを取り付けてしまうと、傷のささくれが影響を及ぼすかもしれませんので、滑らかにしておきます。
以前のメンテナンスの際に、フォークを脱着する際についた傷でしょうか。
クリアランスがほとどなく緊結する必要がある部分なので、脱着はスムーズにできないので、ねじりながら引き抜いた跡が残ってしまっています。
クリアランスを作りスムーズに脱着する一手間を惜しんでしまった様です。
組み上げてフロントフォークパーツの完成です。
稼働するとこをはスムーズに動くことが最低必須条件です。
車両に組み付けて完成です。
ゴールドの輝きがかっこいいですね。
組み上げて完成ですが、その後のメンテナンスにもより良いコンディションで乗り続けていただくためにもお願いがあります。
今回のフロントフォークの様なクリアランスの少なく精密な部品は特に、組み付けの際にスムーズに行うためにシリコンなどの潤滑剤を使用したりしている部分もあります。
組み込み組み上げが終了してから余分な部分は極力拭き上げ清掃をおこなっていますが、取りきれないものは染み出て来たりなどします。
インナーチューブに滲み出て来たシリコンなどに汚れが付着して、ストロークの際にダストシールやインナーチューブなどに傷をつけてしまってはせっかく交換した意味がなくなってしまいます。
スムーズに動くように、汚れが付着しないようにメンテナンスをお忘れなく。拭きすぎて表面仕上げ加工に影響がない様にも気をつけてください。
10年を超えまだまだ現役のZX-12Rに共通して言われているのが、燃料ホースとハーネスの交換。それぞれとても重要なパーツです。
燃料ホースの劣化は燃料漏れによる車両火災の可能性があり一つ間違えば文字通りの火の玉になってしまいますので交換をお勧めします。