2018年08月28日(火)

ZX-12R燃料系メンテナンス

ZX-12R燃料系メンテナンス
 
 12RといえばKawasakiの数ある車種の中でとても特徴的といえる車両で、2000年に新世代フラッグシップとしてデビューし、バックボーン型モノコックフレームや、航空部門の技術者参加によるエアロダイナミクスを踏まえたカウリングデザイン、2軸2次バランサーを実装しリジットマウントされたエンジン、そしてそこからアウトプットされるパワー。
その特異な性能や特性に惚れ込んだライダーたちを中心に話題となりながらも2006年に生産終了しかれこれ12年。
 
 
 今回はもうすぐ初代から20年を迎えようとしているハイパワーバイクの欠かせないメンテナンスです。
 
 
 樹脂パーツは経年による劣化が顕著に現れます。
 それは車両の保管や日々のメンテナンスによって変わってきますが、どんなメンテナンスをしていても劣化を防ぐことはできません。
 劣化してもある程度大丈夫なパーツもありますが、気づかないところで劣化していて致命的なことになってしまうパーツもあります。
 
 
 その、代表的なパーツが。。。燃料系ホースです。
(写真は他の車両)
 以前「ZX-9R E型 整備」の記事の後半でもとりあげましたが、樹脂ホースの劣化はヒビ割れがいちばん多く、その様子は外観からではなかなか見つけることができません。
 ZX-9Rの写真の様に、ホースの縦方向(流れる方向)に向かってヒビ割れがはいってくると、締め付けていても振動や動きによってヒビ割れを伝って燃料が漏れ出してきてしまいます。
 それを放置したままにして、それに引火してしまうと、、、
 そうならないためにも、車両の年式に応じた劣化が予想されるパーツのメンテナンスは重要になってきます。
 
 
 このような、それ相応の年式になろうとしているZX-12Rのフューエルホースの交換作業の一幕です。


(写真は他の車両)
 Kawasakiの技術力の挑戦とも言えるのでしょうか、バックボーン型モノコックフレームに直付けされたエンジン。
必然的にメンテナンスに必要なクリアランスはゼロに近い状態です。
 カウルを外して手を差し入れて、、、のような整備性の良い作業は遠くの彼方。
 
 
 ZX-12Rについては、この様にエンジンを半おろし状態にしなければ、十分な作業クリアランスをとることができません。
 横着してエンジンをずらさずに無理やり交換作業をすると、ほぼ間違いなく交換する新品のホースを痛めてしまいます。(実証済みです)
 それではフューエルホースを交換する意味がないので、横着はせず、丁寧に作業をできる様にするため、エンジンをずらすのですが、、、
 
 
肝心なエンジンをずらすためには、チェーンラインを外さないといけません。
 チェーンラインを外すためには、リアホイールを外さないとフリーになりません。


すると、こうなりました。

 
 ほぼ全バラに近い状態です。。。
 
 
 そして、そのフューエルラインですがスタートは当然ですがタンク下。
 
 
 そこからフレームの隙間を縫って配管されています。
 
 
 エンジンなどいろいろ外してこの状態です。
 経年による劣化での燃料漏れから車両が炎上しないための交換ですので、丁寧な作業でしっかりと配管しないと意味がなくなってしまいます。
 
 
 そして、ここまでバラしたのですから、スロットルボディーのチェックも行いました。
 ZX-12Rのパワーの源泉である巨大なスロットルボディー。46mmの大口径になっています。
 
 
 
 年式が古くなればなるほど、純正パーツが手に入らなくなってしまったりもするので気をつけてください!!

2018/08/28 16:34 | 整備日誌♪ | コメント(0) | トラックバック(0)

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2018年08月07日(火)

ZX-14Rフロント周りメンテナンス

ZX-14Rフロント周りメンテナンス
 
 
整備で必ずチェックするステムベアリング。そしてそのほとんどが「要メンテナンス!」と、言っても過言ではないステムベアリング。
このZX-14Rも例外ではなく要メンテナンス状態でした。
 
 
フロント周りのカウル、ブレーキキャリパー、ホイールとフロントフォークまで順番に外すとステムに至ります。
 
 
シャフトを抜いて露呈したステムベアリング。
もう、ほとんどグリスが残っていません。劣化によって樹脂のようになってしまっているものもあります。
この状態だと、潤滑効果をもたらすグリスが切れていることで、ベアリングなどの金属の摩耗や、雨水などの水分の浸入を許し、錆などの腐食をおこしてしまいます。
 
 
ベアリングを取り外した状態。
劣化して変色したグリスの跡が残っています。
 
 
ステムシャフト側のベアリング。
劣化したグリスや汚れがあるのがわかります。
こちらは交換しておいた方が良さそうです。
 
 
フレーム側、上部・下部です。
汚れもさほど酷くなく、酷い打痕もなく腐食もほとんどありませんでした。
しっかり清掃します。
 
 
ベアリングを取り外し、しっかりと清掃。
こちらも綺麗ですね。
 
 
グリスとあふれんばかりに充填してベアリングを装着。
 
 
次はフロントブレーキのオーバーホールです。
全体的にブレーキダストが付着しています。
オーバーホールのため、ブレーキパッドも取り外し、分解・清掃・点検を行います。
 
 
ブレーキパッドを取り外し、キャリパーピストンツールでピストン回転させ裏側もしっかり清掃・メンテナンスを行います。
レーキダストだけでなく、油分・水分・汚れなどがこびり付いて錆が出てしまいがちです。
サビや汚れはピストン内部のシールを痛めてしまいブレーキの性能を悪化させてしまうので注意が必要です。
 
 
右がメンテナンス後、左がメンテナンス前のキャリパーピストンです。
ブレーキダストの付着具合で違いがはっきりわかります。
ダストは抵抗になりますので、スムーズな動きをしなくなってしまいます。
ブレーキは最も信頼性が必要となる「止まる」の動作に必要不可欠なパーツです。動きの変化に気をつけておきましょう。
 
 
ブレーキキャリパーのオーバーホールを行い、ブレーキオイルも交換します。違いは一目瞭然。
ブレーキオイルの劣化は期間や状況で変わってきます。乗っていなくても劣化はしてしまいます。
悲しいことに密閉されている容器の中に入っていても湿気の浸入で劣化してしまいます。

2018/08/07 21:00 

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