ZX-12R燃料系メンテナンス
12RといえばKawasakiの数ある車種の中でとても特徴的といえる車両で、2000年に新世代フラッグシップとしてデビューし、バックボーン型モノコックフレームや、航空部門の技術者参加によるエアロダイナミクスを踏まえたカウリングデザイン、2軸2次バランサーを実装しリジットマウントされたエンジン、そしてそこからアウトプットされるパワー。
その特異な性能や特性に惚れ込んだライダーたちを中心に話題となりながらも2006年に生産終了しかれこれ12年。
今回はもうすぐ初代から20年を迎えようとしているハイパワーバイクの欠かせないメンテナンスです。
樹脂パーツは経年による劣化が顕著に現れます。
それは車両の保管や日々のメンテナンスによって変わってきますが、どんなメンテナンスをしていても劣化を防ぐことはできません。
劣化してもある程度大丈夫なパーツもありますが、気づかないところで劣化していて致命的なことになってしまうパーツもあります。
その、代表的なパーツが。。。燃料系ホースです。
(写真は他の車両)
以前「
ZX-9R E型 整備」の記事の後半でもとりあげましたが、樹脂ホースの劣化はヒビ割れがいちばん多く、その様子は外観からではなかなか見つけることができません。
ZX-9Rの写真の様に、ホースの縦方向(流れる方向)に向かってヒビ割れがはいってくると、締め付けていても振動や動きによってヒビ割れを伝って燃料が漏れ出してきてしまいます。
それを放置したままにして、それに引火してしまうと、、、
そうならないためにも、車両の年式に応じた劣化が予想されるパーツのメンテナンスは重要になってきます。
このような、それ相応の年式になろうとしているZX-12Rのフューエルホースの交換作業の一幕です。
(写真は他の車両)
Kawasakiの技術力の挑戦とも言えるのでしょうか、バックボーン型モノコックフレームに直付けされたエンジン。
必然的にメンテナンスに必要なクリアランスはゼロに近い状態です。
カウルを外して手を差し入れて、、、のような整備性の良い作業は遠くの彼方。
ZX-12Rについては、この様にエンジンを半おろし状態にしなければ、十分な作業クリアランスをとることができません。
横着してエンジンをずらさずに無理やり交換作業をすると、ほぼ間違いなく交換する新品のホースを痛めてしまいます。(実証済みです)
それではフューエルホースを交換する意味がないので、横着はせず、丁寧に作業をできる様にするため、エンジンをずらすのですが、、、
肝心なエンジンをずらすためには、チェーンラインを外さないといけません。
チェーンラインを外すためには、リアホイールを外さないとフリーになりません。
すると、こうなりました。
ほぼ全バラに近い状態です。。。
そして、そのフューエルラインですがスタートは当然ですがタンク下。
そこからフレームの隙間を縫って配管されています。
エンジンなどいろいろ外してこの状態です。
経年による劣化での燃料漏れから車両が炎上しないための交換ですので、丁寧な作業でしっかりと配管しないと意味がなくなってしまいます。
そして、ここまでバラしたのですから、スロットルボディーのチェックも行いました。
ZX-12Rのパワーの源泉である巨大なスロットルボディー。46mmの大口径になっています。
年式が古くなればなるほど、純正パーツが手に入らなくなってしまったりもするので気をつけてください!!